36.都心部周辺で最も注意を要する活断層は?
地震は、一定の周期性をもって発生(増減)する傾向が強いことから、過去の発生状況を把握することは非常に重要です。南関東地方では、200~300年周期でM8クラス(関東大震災クラス)の巨大地震が発生し、その間にM7クラスの地震が複数回発生する傾向が見受けられます。
前回の関東大震災からは100年弱しか経過していないことから、当面はM8クラスの発生可能性は低く、M7クラスの直下地震に備える必要があります。特に、ここ直近数十年は、「静穏期」にあたり規模が比較的小さい地震で収まっておりましたが、今後「活動期」に入ったと仮定すると、その規模や頻度が増加することが懸念されます。

(2)関東地方で想定される地震 ~「プレート型地震」と「直下型地震」~
◆「プレート型」地震 ~東京湾北部・茨城県南部・多摩に注意~
日本列島周辺では、複数のプレートが重なりあっており、それらのズレにより地震が発生します。関東地方の下には、「北米」「フィリピン海」「太平洋」の3つのプレートが重なっており、それら相互の均衡状態がくずれた時に、首都圏でも大きな地震が発生する可能性があります。
要注意エリアとしては、特に「東京湾北部」「多摩」「茨城県南部」(赤丸部分)が研究者にて指摘されておりますが、プレート型地震の影響は広範囲に及ぶため、いずれが契機になったとしても首都圏の被害は間逃れないものと思われます。(国では「東京湾北部」を主に対策を検討)

(3)◆「直下型」地震 ~M7クラスの5つの活断層~
04年の新潟県中越地震、05年の福岡県西方沖地震、07年の新潟県中越沖地震、そして08年の岩手・宮城内陸地震。全て無警戒の活断層が引き金となりました。活断層はプレートよりも地表に近い部分にあり、影響範囲もプレート型よりも狭い範囲とされていますが、ここ数年の発生状況をみる限り、決して軽視することはできません。(国は特に「立川断層帯」を重点調査する方針を示しています。)
また、これ以外にもM6.9未満の活断層が数多く存在している点は認識しておく必要があります。

(4)「立川断層帯」~都心部周辺で最も注意を要する活断層 ~
◆全国要警戒「7活断層」の1つ 政府も重点調査決定 (2009年度より)
活断層による震災への備えを強化するため、国は、将来強い揺れに見舞われる可能性が高く、周辺人口が約50万人以上の7活断層帯について、2009年度から重点調査する計画案をまとめました。そのうちの1つが、この「立川断層帯」。全国に大小2000ヶ所程度あるとされる活断層の中から絞り込まれた、まさに要注意の活断層です。
【断層帯の位置】
立川断層帯は、埼玉県飯能市名栗地区から東京都青梅市、立川市を経て府中市に至る断層帯で、名栗断層と立川断層から構成されます。全体として長さは約33kmで、概ね北西-南東方向に延びています。
【断層帯の過去の活動】
立川断層帯の平均的な上下方向のずれの速度は、0.2-0.3m/千年程度と推定される。本断層帯の最新活動時期は約2万年前以後、約1万3千年前以前で、平均活動間隔は1万-1万5千年程度であった可能性があります。
【断層帯の将来の活動】
将来マグニチュード7.4程度の地震が発生すると推定され、その際に北東側が相対的に2-3m程度高まるたわみや段差が生じる可能性がある。本断層帯は、今後30年の間に地震が発生する可能性が、我が国の活断層の中では比較的高いグループに属しています。平均活動間隔からみて注意が必要です。
(※尚、今後の発生確率は30年間で2%、50年間で4%程度となります。一見低く感じますが、これは数千年単位の営みを30年規模に置き換えて表現しているためで、実際はかなり高い数値となります。阪神淡路大震災の30年確率が8%といえば理解しやすいと思います。)

(5)「立川断層帯」の震度シュミレーション ◆最大震度7を想定
シュミレーション結果では、当該断層のズレおよび地盤が破壊される方向に向かって震度6強以上の揺れが広がっています。(下図のオレンジと赤色部分が該当)
活断層型地震は、プレート型地震と比較して、震度6以上の広がりはコンパクトであり、ダメージも局所的になると想定されています。しかしながら、対象地域は首都圏の中心部に近く、多くの人口やインフラにも影響を与えることから、決して軽視できるものではないと考えられます。

(6)「立川断層帯」がある多摩地区の最近の状況
●地震雲が時々現れる
●道路上に猫の死骸が増えている
●電波障害が増えている
●空鳴りが各地で確認されている
●地鳴りが各地で確認されている
(7)私は勤務先で19:00頃迄仕事だったので、見ることができなかった昨晩(2月24日)のNHK総合 19:30 ~20:43「首都圏スペシャル」「首都圏で生き残れ!いずれ襲う巨大地震に対策急ぐ自治体」
東日本大震災は都市特有の課題を大きく浮き彫りにした。神奈川県では湘南を14メートル超の津波が襲う可能性があることがわかり、被害想定を見直した。大きな津波が来たら横浜の中心部も沈むことが判明し、対策を急いでいる。
液状化した浦安では、未だに根本的な地盤対策のめどが立たない。さらに首都圏唯一の東海村の原発をどうするか、周辺自治体が動き始めている。次の大地震に向けた備えはどこまで進んでいるのか、私たちはどう備えたらいいのか。ゲストに歌手の早見優らを迎え、クイズを交えながら「首都圏で生き残る」を考えた。
(8)「M8」級が来たら…首都あまりに無防備!被害分からず
転載START
19日午後に関東地方を揺らした地震は、茨城県で震度5弱を観測した。内陸で頻発する地震が首都直下の地震を誘発するとの指摘も出ている。ところが国や東京都は現状で、関東大震災(1923年)の原因となった「マグニチュード(M)8級」の地震に対する被害想定を試算していないことが判明した。95年の阪神・淡路大震災以後、より頻度の高い「M7級」への備えを優先させたというのだ。10万人の死者を出した関東大震災と同規模の地震が首都圏で発生しても、被害がわからないという無防備な実態は、あまりに恐ろしい。
東京都は地域防災計画の中で想定地震を設定し、有事に備えているのは事実だ。ただ、2006年に出された現行の計画では、東京湾北部地震、多摩直下地震をそれぞれM6・9、M7・3で想定。関東大震災を起こした相模湾北部を震源とする大正関東地震(M7・9)と同じタイプの地震は入っていない。
都では「05年に国が公表した首都直下地震の被害想定に準じて地域防災計画を作ったため、想定地震は東京湾と多摩の2つになっている」(防災管理課)と説明する。
国はどうなのか。政府の中央防災会議による被害想定について、内閣府では「阪神・淡路大震災(M7・3)が発生してから、切迫性の高いM7級の想定を急いだ。比較的、発生間隔が開くM8級はこれから検討することになる」(地震・火山担当)というのだ。
過去に関東大震災の想定がなかったわけではない。1988年、中央防災会議は「南関東地域地震被害想定調査」で関東大震災タイプの地震による被害想定を出しており、死者は15万人、建物の被害は39万棟が大破、焼失は260万棟にのぼるとしている。
この想定はいまでも使えるのか? 専門家の見解は厳しい。災害救援に詳しい日本セイフティー災害研究所の伊永●(=勉の口の中の縦棒とその下のノをつなげる)所長は「関東大震災は海溝型の地震だったので、同型の地震ではひどい長周期震動が起こるはず。20年前と比べてタワーマンションを含めた高層建築は首都圏に激増しているが、高層ビルでの被害がほとんど考慮されていない。地下鉄路線の延伸や羽田空港の拡張など、街の姿は大きく変化しており、88年の被害想定が現状に当てはまるとは思えない」と指摘する。
大正関東地震は相次いだ巨大余震が特徴だった。1923年9月1日午前11時58分にM7・9の本震が起きると、午後0時1分にM7・2、同3分にM7・3、同48分にはM7・1の余震が起きた。本震の直後とその次の余震は間隔が短かったため、「5分ぐらいずっと強く揺れていた」との証言も残されている。
死者10万5000人のうち約9割は火災が原因とされるが、余震で倒壊した家屋が増えたために火災が21万棟超まで拡大したともいわれている。
武蔵野学院大特任教授の島村英紀氏(地震学)は、「実際に90年近く前に起きている地震なのだから、また発生する可能性はある。防災対策は最悪の被害を想定しなければならないのに、この甘さは怖い。『人を脅かすのはよくない』という役人特有の心配をしているのだろうか。東日本大震災の巨大地震で地中が大きく変動し、(大正型関東地震の)発生リスクが上昇した可能性もあるなか、非常にまずい」と批判した。
政府の地震調査研究推進本部(地震本部)は、大正型関東地震の発生間隔について200-400年、地震発生確率は今後30年でほぼ0-3%とみている。しかし、島村氏が指摘したように、東日本大震災で発生確率が高まった恐れもある。
都では3-4月の発表を目指し、地域防災計画の見直しを進めている。新計画には大正型関東地震と立川断層帯での地震による被害想定を盛り込む。国も「来年度から(大正型関東地震を含めた)想定検討を行う」(内閣府の地震・火山担当)と動き始めてはいるが、いつ起こるか分からないのが大地震だ。
多くの人が被害の悲惨さを知っている関東大震災。それが現状では「想定外」として扱われているのはいかがなものか。
転載終了
私の現在の勤務先は、立川断層帯が揺れた際、極めて深刻な打撃を受ける位置にある。
3-4月の都の発表を注視したい。
(9)都心部、想定外の震度7も…東京湾北部地震で
首都直下で起こる東京湾北部地震で、これまで想定していなかった震度7の揺れが都心部を襲う可能性があることが分かった。
文部科学省が進めてきた地下構造調査で、地震を起こすプレート(地球を覆う岩板)の境界が約10キロ浅くなる部分があると判明したため。国は新年度、被害想定と対策の見直しを始める。
東京湾北部地震は、国の中央防災会議が18通りの発生領域を想定している首都直下地震の一つ。震源は陸のプレートと、その下に沈み込むフィリピン海プレートの境界で、規模はマグニチュード(M)7・3。同会議が2004年に公表した震度分布の最大震度は6強だった。
しかし、大学や研究機関などが参加する文科省の研究チームが07~11年度、首都圏約300地点に地震計を設置し、地震波を解析した結果、東京湾北部のプレート境界の深さが、同会議の想定(30~40キロ)より約10キロ浅くなる部分があることが確認された。
(2012年2月21日03時14分 読売新聞)
(10)震災時2人死亡の量販店、昨日(2月24日)再開 東京・町田のコストコ
東日本大震災の際に立体駐車場のスロープが崩落し、2人が死亡、8人がけがをする事故が起きた東京都町田市の大型量販店・コストコ多摩境店が24日午前、営業を再開した。
米国系の同店は倉庫のような店のつくりで、商品の容量が大きいことが特徴。会員制の販売を行っている。震災以来の営業となるこの日は朝から多くの買い物客が訪れ、予定の午前8時より早めて開店。車が新しいスロープを次々と上っていった。付近の道路は長い渋滞の列ができた。
震災の際は店舗の駐車場につながる鉄筋コンクリート製のスロープが崩れ落ち、下を走っていた車が下敷きになった。運営するコストコホールセールジャパン(川崎市)は設計会社に依頼し、スロープを解体して原因を調査。その結果、駐車場の本体部分とスロープの床が連続しておらず、本体とスロープの構造の強さが異なったことも明らかになったという。
関係者によると、再建した新しいスロープは、駐車場の本体部分から独立させた上で強度を備えた構造になっているという。
東日本大震災当時、拙ブログはまだ産声を上げていなかった。しかし、私はネット上へのコメントの投稿は時々していた。
震災時、首都圏の死者に関しては、九段会館の例を盛んに取り上げる一方、外資のコストコ多摩境店の死者は余り大々的に報じていなかった。
そこで、私は外資に遠慮することなく、きちんと報道すべきと言う趣旨の投稿をした。