192.中沢啓治の怒りを受け継ぐのは誰か?

はだしのゲン 原爆投下

(1)「はだしのゲン」の中沢啓治が逝去、73歳 

「はだしのゲン」で知られる中沢啓治が2012年12月19日、肺がんのため広島市内の病院で死去した。73歳。

 中沢は1939年3月14日広島県生まれ。1963年、少年画報(少年画報社)に「スパーク1」が掲載されマンガ家デビューを果たす。1968年には初めて原爆をテーマにしたマンガ「黒い雨にうたれて」を発表し、1973年に週刊少年ジャンプ(集英社)にて、自身の被爆体験を元にした「はだしのゲン」の連載を開始した。

 2009年には白内障による視力低下などを理由に、執筆活動を断念。葬儀は本人の意向により、家族のみで行ったという。

(2)<転載記事> 青空学園だより 2012-12-25 追悼,中沢啓治さん

 「はだしのゲン」の漫画家,中沢啓治さんが19日午後2時10分,肺がんのため広島市内の病院で亡くなられた.73歳だった.6歳の時に広島市内で被爆,父と姉,弟を失われた.中沢さんはわれわれに重い課題を残して逝かれた.大新聞やテレビも彼の死を報じるだろうが,彼が何に怒り,どのような課題を残したのかについては,絶対報じない.トゲを抜いたうえでしか報じない.

 ささやかなことしかできないが,せめてこのようなブログの連携で彼の怒りを共有できればと思う.彼は去年の夏,『週間金曜日』(858号,2011.8.5)の特集「原爆と原発 怒りの表現者たち」で彼の思いを語っている.詳しくは本書を取り寄せるか既刊書を置いている本屋で手に入れてほしい.彼はこのときすでに肺がんの手術をしていた.この記事はいわば彼の遺言とも言うべきものである.彼のお母さんは1966年に亡くなった.そのときのことを彼は言う.

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-ABCC(原爆傷害調査委員会)は被爆者を実験台にし、遺体に群がるハイエナのようだと批判されてます。

中沢 お袋も手当てをしてくれると思って行ったら、頭のてっぺんから足の先まで素っ裸にされ、隅々まで調べられて、はい終わり、って。何のために行ったんだ、とぼやいてました。書類には姓名でなく標本名と書かれてるし。

お袋が死んだときも、東京から駆けつけると家の中が妙な雰囲気で、どうしたんだと間くと、さっきABCCがお袋の内臓をくれと言って来たと。きれいに縫合して返すから内臓くれって。次男が怒って「何言うか!」って追い返しだけど。いまだにお袋を追い続けてるのかと腹立ってねえ。やっぱり貴重なんてすね、生き残った人間が。今もやってるでしょ。

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 福島でもやろうとしている.その母親を火葬にしたとき,骨がぼろぼろで残らなかった.このことは「ゲンは怒っている」に詳しい.このときの怒りから原爆を描くことを決意.初めて原爆を扱った「黒い雨にうたれて」を発表した.そして1973年から週刊少年ジャンプ(集英社)で「はだしのゲン」の連載をはじめたのだった.彼の怒りはしかしもっとさかのぼる.戦争の始末をつけることに関して,彼は次のように語っている.

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中沢 アメリカはポツダム宣言で予告したわけです。強大な破壊力の用意があると。あの時点で降伏すれば広島と長崎の被爆はなかった。そもそも天皇は東京大空襲を巡幸して惨状を見てるんだから、負けることはわかってたはずです。天皇制の保証がないから拒んだんでしょ。その天皇が、戦後のうのうと広島に来て、日本人がまた万歳して喜ぶ。イタリアではムッソリーニが逆さ吊りにされて、子どもから老人までが石を投げたんです。ニュース映画でアップになると、どの顔も、どの顔も、よくも俺たちをこんな酷い目にあわせたな、お前を許さんぞ、って怒りの顔です。

-日本にそういう光景はなかった。

中沢 逆ですよ。腹が立ったのはね、学校で先生が半紙を配るわけです。真ん中に円を描け、赤のクレヨンで塗りつぶせって。竹に巻きつけて、翌日、相生橋の土手に並んで行幸する天皇に振れと言う。なんちゅうおめでたい日本国民か。僕は持たないですよ。冗談じゃない、誰が日の丸なんか振るか!

天皇の乗ったフォードが目の前を通るとね、黒いソフトに白いシルクのマフラーが見えた。それ見たら一二月の震える寒さの中で、火がついたように熱くなったですよ。こいつのせいで弟も姉もおやじも死んだんだと、悔しさではらわたが者えくり返った。転がっている瓦の破片を下駄でパ~ンと蹴ったら天皇の車のタイヤに当たって跳ね返ったの。ものすごく鮮明に覚えてるんです、本当に腹が立ったから。他の生徒は嬉々として万歳してるの、教師が音頭とってね。本当にもう馬鹿じゃないかと思ったね。悲惨な焼け野原で飢えてる子どもたちに、その責任の頂点にいる奴に万歳せいって。教育は恐ろしいです。

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 私自身は,自分の考えをまとめるために,あのの戦争とその後始末という問題については本の紹介を通してここにも書いてみた.『魂鎮への道-BC級戦犯が問い続ける戦争』を読む,六五年目に.いずれも3.11核惨事の起こる前のものだ.いま読めば甘いところが目につく.が,考えてきた跡でもある.そこでも書いたが,かつて戦争を遂行した,天皇とそれを担ぐ官僚による支配体制,これは明治10年頃に成立したのだが,これを旧体制と呼ぼう.この体制はついにあの戦争に行きついた.中沢さんも言われるように,1945年の春にはすでに戦争能力がなくなっていたのに,1945年の7月26日のポツダム宣言を直ちには受け入れず,旧体制を温存するための工作に時間を費やした.そして,8月6日のソ連参戦と広島の原爆,9日の長崎の原爆となったのである.これは事実である.

 ところがその旧体制はあれだけ「鬼畜米英」を叫び国民を戦争に動員したにもかかわらず,戦後は一転してひたすらアメリカに従属した.官僚支配の旧体制を温存するためには,まさに何でもする.そしてアメリカの核戦略のもと地震列島弧に50数基の原発を作り,終に福島の東電核惨事に至ったのだ.ドイツにできた脱原発がなぜ日本でできないのか.それは日本があの戦争の始末をつけていないからだ.原爆をもたらしたものと,そしてそのものの責任回避を許し戦争の始末をつけないことと,そのことへの怒りを生涯通して貫かれたのが中沢さんであった.彼はまた言う.

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東京で、何気なく「広島で被爆した」と言ったら、凄い目で見られてね。東京の人は放射能がうつると思っていた。いま福島の被災者が同じ差別にあっている。許せないです。

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 この言葉は重い.その日本で原発推進の自民党が再び政権につく.「他の生徒は嬉々として万歳してるの、教師が音頭とってね。本当にもう馬鹿じゃないかと思ったね。悲惨な焼け野原で飢えてる子どもたちに、その責任の頂点にいる奴に万歳せいって。教育は恐ろしいです。」これは今回の選挙のことを言っているのかと思う.何も変わっていないのか.こうして中沢さんの怒りは鬼になる.この日本の官僚支配の旧体制,これを打破しないかぎり彼の魂は鎮まらない.

(3)<転載記事> 院長の独り言 2012年07月29日 フクシマが安全という知見は我々にはない-放影研が公式に認める(知られざる放射線研究機関 ABCC/放影研)

今まで、フクシマが安全安全と色々な学者、医師が説明してきました。山下俊一氏は、100mSvまでは癌は起きないと、結論が出ているかのように何度も何度も発言し、さらに福島の小児科医の方もそのようなお話しを福島県民の前でされているようです。

 肥田先生をはじめとする原爆被害者は、そのようなことはない。内部被曝の怖さを知らないから、そのような安全論を言うことができるのだと非難をされていましたが、国家権力の強力なマスコミ操縦能力の前では、その言葉も打ち消され、一部の人にしか信用されないという悲しい状況になっていた気がしてなりませんでした。


20120728 知られざる放射線研究機関 ABCC... 投稿者 PMG5

 上の番組を紹介します。この番組に私がもっとも伝えたかったことが描かれています。以下、重要なところだけ画面を切り出します。

さて、内容を見ていきましょう。番組の冒頭ははだしのゲンから始まります。

はだしのゲン 報道特集
原爆実験 報道特集
あんちゃん
人体実験
原爆ドーム前
中沢啓治の母
ABCCが来た
中沢啓治


 原爆投下直後から、「ヒロシマには七五年間草木は生えん」という風説が流布されました。この3/4世紀という時間感覚が、米国が完璧に被害を予測していたことがよくわかります。

 はだしのゲン・・何度も推薦していますが、この本は今回のフクシマの全体像を知る上で欠かせない書籍の一つです。全巻を揃えて、お読みください。そして、お子さんにも読んでもらってください。算数、国語の勉強の前に日本人として、そして人間として持っておかねばならない知識です。

米国は、この調査は今後非常に大事だと公文書で述べています
アメリカ海軍省
アメリカ海軍省の文書

 これとまったく同じ論調の記事を、こともあろうに福島民報が配信しています。

いずれどうせまた世界のどこかで起こるであろう放射能被害に備えて、健康被害の有無を含めた情報を蓄積しておくことは、人類への貢献(福島民報)

米国は、敗戦国に対して、このような非礼を働いていますが、福島民報は同胞に対して同じ発言をしているのですから、決して許されないことです。

 トルーマンは、アメリカ兵の命を救うために原爆を使用したといいますが、これが真っ赤な嘘です。広島型原爆とナガサキ型原爆は、燃料(U235とPu239)から、構造まで何から何まで異なります。その新型爆弾を3日足らずのうちに2つも投下したのは二つとも効果を試したかったからで、これは成書にいくらでも記載があります。マンハッタン計画は膨大な資金を費やしたため、この効果を米国民が納得させる形で見せなければ、「民主主義」を標榜している国家としては政権が転覆する可能性すらあるためです。

トルーマン
トルーマン 1

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