162.3大学設立不認可で田中真紀子文部科学大臣がバッシングされているが、そもそも若者が減っている時代に、なぜ大学が増設され続けたのか?

矢島舞美 (2)
↑矢島舞美

(1)田中真紀子文部科学大臣の3大学設立不認可は不適切なのか?

 2012年11月6日付けの朝日新聞の「天声人語」や2012年11月6日付けの毎日新聞の「余録」や2012年11月6日付けの読売新聞の「編集手帳」で、田中大臣の対応を批判している。

 何の落ち度もない学校や採用されるはずであった教員や該当校への進学希望者のことをまったく考えていない。などと批判している。

ごもっとな批判とも言えるが、マスコミの情報を批判的にとらえる傾向にある私としては、所謂三大紙がこぞってしかも同じ日のコラムで批判しているのは、何か意図があるのではないかと思ってしまう。

(2)3大学、年内に再審査 「不認可」見解取り下げ 文科省

田中真紀子文部科学相が、いったん不認可と判断した秋田公立美術大(秋田市)などの3大学を事実上救済する方針を表明したことについて、文科省の前川喜平官房長は6日、新しい基準での再審査に適合すれば3大学が来春開学しても行政手続き上問題ない、との考えを示した。

 田中文科相の方針転換を事務方も後押しした形で、新たな検討会議で議論した後、年内にも3大学の開学を認める流れが強まった。

 前川官房長は記者会見で「大学には不認可を文書で通知していないので(行政上の)不認可処分はまだ出ていない」と説明。「事務方の伝え方に問題があった」と弁明し、3大学が不認可となった、という文科省のこれまでの見解を事実上取り下げた。文科省関係者によると、新たな検討会議では1カ月程度で大学設置の審査基準を策定する。

(3)世論に屈服した田中真紀子

「暴走おばさん」、田中眞紀子文部科学相をこう評したのは、小説家・作詞家なかにし礼さんである。テレビ朝日の番組「スクランブル」(2012年11月5日放送分)でコメントした。「暴走老人」と言われている石原慎太郎前都知事に引っかけた言葉だ。
<いずれ拙ブログでも、その「暴走老人」についてまた綴っていく予定です。>

 確かに、文部科学省の大学設置・学校法人審議会の答申を覆して、3大学の新設を不認可としたのは、従来の慣例から言えば、異常である。3大学とは、秋田公立美術大、札幌保健医療大、岡崎女子大である。

TVや新聞などのマスコミが、この件で田中真紀子文部科学大臣をバッシングしているので、マスコミの影響を受けやすい多数派の世論は、田中真紀子文部科学大臣の3大学設立不認可は不適切だと考えているようである。

 TVではひどい文科大臣が、大学の開校を阻止し、そこに入学しようと思っていた女子が「入るつもりだったのに・・・」と言って涙を流す。多数派の世論は、なんてひどい大臣なんだろうということになる。

(4)大学新設利権

なぜ、こんな事態が起きたのか。事態が起きた根本には、3つの問題がある。

1つは、「学校屋」あるいは「大学屋」と言われる「学校経営」を商売にしているプロのビジネス集団の「大学新設利権」である。

 この利権集団と結託しているのが、文部科学省の大学設置・学校法人審議会である。利権集団からの大学新設申請があると、文部科学相の諮問を受けて、検討するのだが、大体、諮問通りに答申し、文部科学相は、認可する。

 私学運営には、毎年、巨額の助成金が国から支出されるので、こんな美味しい商売はない。新設大学の経営者である理事長以下理事のポストは、「利権屋」が独占し、文部科学省官僚の天下り先ともなる。教授以下の教職関係者には、マスメディアの記者、アナウンサーらの再就職先として確保される。利権に群がるのだ。

 2つ目の問題は、この「大学利権」は、自民党文教族議員が、支配、掌握してきた。旧文部省時代から文部大臣は、概ね、福田派、三木派、中曽根派の3派閥から送り込まれてきた経緯があり、田中派や大平派からの配置は、少なかった。この結果、自民党国会議員の族議員化が進み、森喜朗元首相(元文相)が、「文教族のドン」と言われて、幼稚園から大学までの「私学助成利権」、日本体育協会を頂点とする「スポーツ振興利権」などを壟断し続けてきた。森喜朗元首相は建設相の経験もあり、大学施設やスポーツ施設建設・増設について、建設業界などと政治資金面で深い関係を築いている。これは、3年前に自民党が野党に転落してからも変わらなかった。

 この森喜朗元首相の利権の牙城に、田中角栄元首相の長女・田中眞紀子が文部科学相として送り込まれたのである。田中眞紀子文部科学相が外務大臣のとき、その座から引きずり下ろすよう当時の小泉純一郎首相に進言し、辞任に追い込んだのが、森喜朗元首相だった。いわば、憎っくき宿敵、政敵である。

 野田佳彦首相が、この関係を熟知していなかったとしたら、迂闊であった。田中眞紀子文部科学相は、森喜朗元首相の「私学利権」の支配、掌握下にある「新設大学認可問題」に直面して、過激反応してしまったのである。

 3つ目の問題は、秋田公立美術大、札幌保健医療大、岡崎女子大の3大学が、正式認可も下りていないのに、先走って、学生募集や施設拡充建設などを進めていたことだ。従来通りのやり方で、すべてうまく行くと思い込んできた点は、軽率だった。国家財政が、破綻しているという状況のなかで、大学新設は、控えるべきであった。文部科学省の官僚たちも、安易であった。

(5)瓦礫処理と大学増設は、腐敗した奴らの利権の構造。

大学全入時代と言われて久しく、受験生が半減する中、新設大学は増設され、5割も増えている。つぶれる大学で出るのは当然の成り行きである。

つぶれても、大学増設で甘い汁を吸った奴らは痛くもかゆくもない場合が多い。甘い汁を吸ったら、後は野となれ山となれである。

瓦礫処理も同じ、瓦礫処理で甘い汁を吸ったら、放射性物質が拡散し、内部被曝者が増えても、お構いなしである。

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