117.核燃料は爆発するのか?
(1)アホ様のHOTなコメント
そんなに爆発しねぇよww
「核燃料は爆発します」って何情報?
再臨界=爆発だと思ってる?ww
(2)コメントに対するお礼
貴重なコメントを下さりありがとうございます。
おそらく、拙ブログ「80.福島原発4号機の終わりは、世界の終わりか?」の「(6)4号機プールが爆発したら」をご覧になってからの熱い思いをお寄せ下さったのだろうと拝察致します。
因みに、(6)の記事は、拙ブログのオリジナルの記事ではなく、転載記事だったのですが、今、改めて見直してみると、転載記事であることをきちんと明示していなかったですね。
したがって、(6)の記事すべてが拙ブログのオリジナルの記事と見なされ、その中の主張も拙ブログのオリジナルの主張と判断されてしまいますね。
その(6)の記事の中に「停止中でも、震度6で冷却配管破損、核燃料は爆発します。」との表現がある。
アホ様は、ここをお読みになって、私にご教示下さったものと拝察致します。
(3)原発を止めてもリラッキングされた使用済み燃料プールの危険はなくならない<転載記事>
Arnie Gunderson 博士は以前から3号機での爆発は水素爆発ではなく、使用済み燃料プールの燃料が臨界を起こした臨界爆発(prompt critical explosion)だったと主張している。彼の主張は下のビデオを見ていただくのが一番良いが、その中で彼は「去年の3月に NRC Reactor Safety Team によって書かれたレポートには、使用済み燃料プールから爆発により飛び出して来たと思われる核燃料が1マイルも離れたところで発見された、と書かれている」と述べている。
その資料は、本来は非公開情報だが、すでにリークされており(参照)、誰でも読むことができる(読みやすいコピーをここに置いておく)。注目すべきは、10ページ目の以下の記述。
Fuel pool is heating up but is adequately cooled, and fuel may have been ejected from the pool (based on information from TEPCO of neutron sources found up to 1 mile from the units, and very high dose rate material that had to be bulldozed over between Units 3 and 4. It is also possible that the material could have come from Unit 4). [RST Assessment of Fukushima Daiichi Units. 3/26/2011]
使用済み燃料プールの核燃料が飛び散ったとすれば、それは単なる水素爆発ではなく、プールの中の核燃料が再臨界を起こしたとしか考えられない、というのが Gunderson 博士の主張だ。
ちなみに、このビデオでもっと気になったのは、Gunderson博士が「最近はどこでも使用済み燃料プールには臨界ギリギリにまで使用済み燃料を詰め込んでおり、万が一地震などでプールが損傷することがあれば、再臨界を起こす可能性が十分にある」と述べている部分。
日本でも、数年前から中間貯蔵場所の不足を補うために、全国の原子力発電所で「リラッキング」と呼ばれる燃料の詰め込みが行われている。2010年にも、関西電力が高浜1・2号機の使用済み燃料プールに実行増倍率 0.977 という臨界ギリギリのところまで(増倍率が1を超えると臨界暴走してしまう)使用済み燃料を詰め込んでいることの危険性が指摘されている(参照)。国際的には5パーセントの安全マージンが必要とされているのに、「しまう場所がないから」と言うだけの理由で2パーセントまで安全マージンを引き下げることを許容してしまったのだ。
たとえ原子炉を止めたところで、全国の原子力発電所のプールに詰め込まれた使用済み燃料プールがある限り、地震によりプール(もしくはプールの冷却施設)が破損し、使用済み核燃料が再臨界を起こして放射性物質をまき散らすという可能性はなくならないのだ。使用済み核燃料の最終処理をこれ以上先送りしてはいけない。これほどまでに危険な「負の遺産」をこのままの形で次の世代に残すことは許されない。
(4)福島原発 燃料取り出し10年、廃炉まで20~30年必要との推定 <転載記事>
福島原発の事故から1年が経とうとしているが、事故直後から飛び交った「再臨界」「核爆発」「チャイナシンドローム」などの脅威論は、いずれも科学的には可能性がほぼゼロで、本誌はそう報じ続けた。事実それらは起きていない。
再臨界が起きるには、燃料が等間隔で規則正しく並び、減速材(※1)の役目をする水に浸かっている必要がある。ところが燃料はメルトダウンして格納容器の底に散らばっていたのだから、その可能性は限りなくゼロに近かったのだ。
核爆発を口にした自称専門家は、それだけでニセモノである。核燃料の濃縮度では、どんな魔法でも核爆発は起きないからである。
厄介なのは「チャイナシンドローム」だ。「メルトスルー」とも呼ばれるが、すなわち高温になった核燃料が格納容器に穴を開け、地中に漏れ出す現象である。 “地球の裏側まで突き抜ける”という「チャイナシンドローム」は完全なデマだが、地中に核燃料が漏れ出せば環境汚染は甚大で、処理は格段に難しくなる。
東京電力が昨年11月に発表した事故報告書では、燃料すべてがメルトダウンした1号機では、溶けた高熱の燃料が格納容器内部のコンクリート壁を最大70センチも侵食しているとみられることが明らかにされた。
これでメルトスルー説に火が付き、「薄い場所ではコンクリートは100センチしかない。あと30センチあまりで燃料が地中に漏れ出す」などと騒がれた。新聞やテレビまでご丁寧に図解付きで同様に報じた。ところが、これも事実とは大きく違っていたのである。
原子炉の構造は各号機で違うが、1号機で侵食されたコンクリートとは、厚さ平均3.8センチの鉄板でできた格納容器本体の内側に打たれた床面のことで、溶けた燃料が落下したと考えられる圧力容器の真下では、厚さが260センチある。
床面には穴が開いた場所もあるので、床面のコンクリートが100センチ程度の場所に落ちた可能性も確かにあるが、その外側に先の鉄板があり、実はその下にもまだ760センチのコンクリート壁がある。さらにその下に原子炉建屋の堅牢な基礎があるから、今後、核燃料がメルトスルーする可能性はゼロといっても過言ではない。
東芝で原子炉設計に携わった日本システム安全研究所の吉岡律夫・代表は、原子炉について誤解と誤報が多すぎたと嘆息する。
「新聞は反原発派の話を鵜呑みにし、地震で配管が破断したとか、津波の前に制御不能に陥ったなどと報じたが、後の検証ですべて間違いとわかった。1号機は格納容器が小さすぎたとか、3号機はMOX燃料(※2)だから爆発するとか、再臨界、核爆発など、専門家なら真偽のすぐわかる噂がまかり通った。
本当の問題は、原発の技術ではなく安全設計の考え方だった。事故の3年も前に、一部の専門家たちは津波による全電源喪失に備えるべきだと提言していたのに(原子力安全基盤機構報告書=2008年)、それを活かせなかったことは大いに反省すべきだ。それ以外で真に想定外の問題だったのは、建屋に水素が溜まって爆発したことだけです」
もし、原発を再稼働せざるを得ない状況があったとしても、安全思想の抜本的改革がなければ同じ失敗を繰り返す。福島原発は、見た目の派手な壊れ方や初期の危機説に比べれば、ずっと安全バッファが大きかったが、それは「原発は安全」の根拠にはならない。
最も大きな困難は今後の廃炉と放射性廃棄物の処理だ。核燃料が飛び散って失われたチェルノブイリは、原子炉ごと「石棺」にし、何十年も監視し続ける道を選んだ。米国のスリーマイル島原発は、幸いにも核燃料が原形をとどめていたから数年後に燃料を取り出し、圧力容器・格納容器は通常通りの手順で解体された。
福島原発は、溶け落ちた燃料を回収・再処理し、高濃度に汚染された何十万トンもある原子炉を4基も解体・廃棄するという世界の誰もやったことのない困難な作業が待ち受ける。
「燃料が取り出せるようになるまで10年。廃炉までには20~30年と見るべきです。健全な原子炉でも廃炉には1基1000億円かかりますから、壊れた4基の処理は1兆円のオーダーになる。技術的な課題を含め、廃炉が本当にうまく進むのかが、今後予想される真の危機でしょう」(吉岡氏)
放射能禍は予測よりずっと小さかった。しかし、この恐るべき負の遺産と何十年も格闘する困難は想像を絶する。その道筋がないまま、なし崩しに原発を再稼働することなど決して許されない。
※1:核分裂で放出される中性子の速度を下げる役割を果たすもので、福島第一原発の場合は水。減速されない中性子は次の核分裂を起こすことが難しいため、水がないと再臨界の可能性が著しく低くなる。
※2:使用済み核燃料から取り出されたプルトニウムとウランを混ぜた混合酸化物燃料。3号機には2010年10月よりMOX燃料が使用されていた。
※週刊ポスト2012年3月9日号
(5)福島原発3号機の爆発は水素爆発ではなく核暴走だった!<転載記事><2011.05.06 Fri 15:16付け「カナダde日本語」より>
「プルトニウムが含まれた福島原発3号機爆発で危険なメルトダウンが始まった」というエントリーで、3月14日に3号機が爆発したとき、長崎の原爆のきのこ雲のような煙がたちのぼったことを書いたが、やはり、あれは、水素爆発ではなく、核爆発だった可能性が高いことがわかってきた。
米国のスリーマイル原発事故の際、事故調査団のメンバーだった、米国のフェアウィンズ・アソシエーツ社チーフエンジニア アーニー・ガンダーソン氏は、あの爆発は、使用済み燃料プールの燃料が、再臨界を起こして核爆発を起こしたものではないかと語った。
ガンダーソン氏も、情報がないので、あくまで仮説であると断った上で、核爆発が起こった過程を次のように説明をしている。
1.水素・酸素の化学反応で水素爆発が起こった
2.燃料棒が激しく動いて変形するような衝撃波が生じた
3.即発臨界による核反応を引き起こした。
4.核反応により、プールから燃料棒・燃料棒集合体などを吹き飛ばし噴煙を噴き上げる爆発のエネルギーとなった。
この仮説を確かめるためには、噴煙に含まれる核種の同位体を調べる必要があり、米軍機がサンプルを採集したので、米政府が情報を握っているのではないかと述べている。日本政府は、米国に情報を公開される前に国民に真の情報を伝えることが大切だ。
↑福島第一原発3号機の爆発についての解説2011年4月26日
また、京都大学原子炉実験所の小出教授も3号機の爆発について、最初は水素爆発だとばかり思っていたそうだが、データを調べていくうちに、水素爆発を引き金にして起こった核暴走ではないかと疑うようになってきたと述べられている。
核実験を禁止する法律にのっとって、大気中の微量な放射性物質を監視する研究機関が高崎にあって、そこで3月14日にヨウ素135が膨大な量検出されたことから、核暴走を疑うようになったそうだ。
★核暴走
原子炉内の出力が異常に上昇し、臨界制御が不能な状態に陥ること。
核分裂が持続的に行われる「臨界」状態に至るには、使用される中性子の性質によって「即発臨界」と「遅発臨界」に分類される。遅発臨界は核分裂反応後やや遅れて放出される中性子(遅発中性子)を必要とするため、遅発中性子を吸収することで臨界・超臨界を制御することができる。
しかし、核分裂反応の直後に放出される「即発中性子」のみで臨界に達する「即発臨界」の場合、極めて高速に超臨界が引き起こされ、外部から核分裂反応を制御することができない。
核暴走は膨大なエネルギーを瞬時に生成し、核爆発に至る可能性もある。原発事故における再臨界は核暴走の一種であり非常に危険視されている。
(2011年03月17日更新)
3号機の爆発が、使用済み燃料プールの核燃料による核爆発や核暴走だとしたら、周辺地域への被害はかなり大きなものになっているはずだ。
そして、今、3号機の温度が上昇し続けている。再臨界は繰り返されるそうなので、このまま温度が上昇し続ければ、3号機は再爆発する可能性は高い。
そうすると、かなり濃度の高い放射線を発生させるため、現在行われている注水作業も難しくなり、1号機から5号機までが空焚きとなり、連鎖反応で次々に爆発する可能性も出てくる。
そうすると、広島や長崎に落とされた原爆の何十倍、何百倍の放射性物質を放出することになり、原爆どころの騒ぎではなくなってくる。
被曝しても、ただちに症状が出るわけではないが、内部被曝の場合は、10年、20年、30年かけて人体に影響を及ぼすと言われている。このような危険な事故を起こす原発は、ただちに全廃しなければならない。
↑原発と白血病の因果関係(ドイツのテレビ番組)1/3
3号機 原子炉の温度が上昇(NHK 2011年5月6日 4時53分)
3号機 原子炉の温度が上昇(NHK 2011年5月6日 4時53分)
東京電力福島第一原子力発電所3号機では、原子炉の温度が1週間余りで30度以上、上昇していることから、東京電力は原子炉に入れる水の量を増やし、温度の推移を注意深く監視しています。
福島第一原発3号機は、1号機や2号機と同じように冷却機能が失われたことで燃料の一部が溶融したとみられ、原子炉を冷やすために仮設のポンプで外から水を注入する作業が続けられています。東京電力によりますと、3号機の原子炉の温度は、比較的、安定した状態が続いていましたが、ここ1週間余り徐々に上がっていて、底の部分の温度で見ますと、5日午前11時の時点で143.5度と、先月27日からおよそ33度、上昇しています。
これについて東京電力は、3号機の原子炉への注水量が一時的に減ったことが原因とみていて、その要因として、1号機から3号機の原子炉への注水方法が考えられるということです。具体的には、原子炉への注水は、1号機から3号機までそれぞれ別の配管を使って行われていますが、万一、注水できない場合に備え、これらの配管は別の配管でつながっているということです。このため、ほかの号機との関係で注水量が変化する可能性があり、実際に、3号機の温度が上昇し始めた先月27日から2日間は、1号機の格納容器を水で満たすため、注水量を増やしていました。東京電力では、4日から1時間当たり7トンから9トンに注水量を増やしましたが、温度の上昇は続いており、温度の推移を注意深く監視しています。
↑原発と白血病の因果関係(ドイツのテレビ番組)2/3

そんなに爆発しねぇよww
「核燃料は爆発します」って何情報?
再臨界=爆発だと思ってる?ww
(2)コメントに対するお礼
貴重なコメントを下さりありがとうございます。
おそらく、拙ブログ「80.福島原発4号機の終わりは、世界の終わりか?」の「(6)4号機プールが爆発したら」をご覧になってからの熱い思いをお寄せ下さったのだろうと拝察致します。
因みに、(6)の記事は、拙ブログのオリジナルの記事ではなく、転載記事だったのですが、今、改めて見直してみると、転載記事であることをきちんと明示していなかったですね。
したがって、(6)の記事すべてが拙ブログのオリジナルの記事と見なされ、その中の主張も拙ブログのオリジナルの主張と判断されてしまいますね。
その(6)の記事の中に「停止中でも、震度6で冷却配管破損、核燃料は爆発します。」との表現がある。
アホ様は、ここをお読みになって、私にご教示下さったものと拝察致します。
(3)原発を止めてもリラッキングされた使用済み燃料プールの危険はなくならない<転載記事>
Arnie Gunderson 博士は以前から3号機での爆発は水素爆発ではなく、使用済み燃料プールの燃料が臨界を起こした臨界爆発(prompt critical explosion)だったと主張している。彼の主張は下のビデオを見ていただくのが一番良いが、その中で彼は「去年の3月に NRC Reactor Safety Team によって書かれたレポートには、使用済み燃料プールから爆発により飛び出して来たと思われる核燃料が1マイルも離れたところで発見された、と書かれている」と述べている。
その資料は、本来は非公開情報だが、すでにリークされており(参照)、誰でも読むことができる(読みやすいコピーをここに置いておく)。注目すべきは、10ページ目の以下の記述。
Fuel pool is heating up but is adequately cooled, and fuel may have been ejected from the pool (based on information from TEPCO of neutron sources found up to 1 mile from the units, and very high dose rate material that had to be bulldozed over between Units 3 and 4. It is also possible that the material could have come from Unit 4). [RST Assessment of Fukushima Daiichi Units. 3/26/2011]
使用済み燃料プールの核燃料が飛び散ったとすれば、それは単なる水素爆発ではなく、プールの中の核燃料が再臨界を起こしたとしか考えられない、というのが Gunderson 博士の主張だ。
ちなみに、このビデオでもっと気になったのは、Gunderson博士が「最近はどこでも使用済み燃料プールには臨界ギリギリにまで使用済み燃料を詰め込んでおり、万が一地震などでプールが損傷することがあれば、再臨界を起こす可能性が十分にある」と述べている部分。
日本でも、数年前から中間貯蔵場所の不足を補うために、全国の原子力発電所で「リラッキング」と呼ばれる燃料の詰め込みが行われている。2010年にも、関西電力が高浜1・2号機の使用済み燃料プールに実行増倍率 0.977 という臨界ギリギリのところまで(増倍率が1を超えると臨界暴走してしまう)使用済み燃料を詰め込んでいることの危険性が指摘されている(参照)。国際的には5パーセントの安全マージンが必要とされているのに、「しまう場所がないから」と言うだけの理由で2パーセントまで安全マージンを引き下げることを許容してしまったのだ。
たとえ原子炉を止めたところで、全国の原子力発電所のプールに詰め込まれた使用済み燃料プールがある限り、地震によりプール(もしくはプールの冷却施設)が破損し、使用済み核燃料が再臨界を起こして放射性物質をまき散らすという可能性はなくならないのだ。使用済み核燃料の最終処理をこれ以上先送りしてはいけない。これほどまでに危険な「負の遺産」をこのままの形で次の世代に残すことは許されない。
(4)福島原発 燃料取り出し10年、廃炉まで20~30年必要との推定 <転載記事>
福島原発の事故から1年が経とうとしているが、事故直後から飛び交った「再臨界」「核爆発」「チャイナシンドローム」などの脅威論は、いずれも科学的には可能性がほぼゼロで、本誌はそう報じ続けた。事実それらは起きていない。
再臨界が起きるには、燃料が等間隔で規則正しく並び、減速材(※1)の役目をする水に浸かっている必要がある。ところが燃料はメルトダウンして格納容器の底に散らばっていたのだから、その可能性は限りなくゼロに近かったのだ。
核爆発を口にした自称専門家は、それだけでニセモノである。核燃料の濃縮度では、どんな魔法でも核爆発は起きないからである。
厄介なのは「チャイナシンドローム」だ。「メルトスルー」とも呼ばれるが、すなわち高温になった核燃料が格納容器に穴を開け、地中に漏れ出す現象である。 “地球の裏側まで突き抜ける”という「チャイナシンドローム」は完全なデマだが、地中に核燃料が漏れ出せば環境汚染は甚大で、処理は格段に難しくなる。
東京電力が昨年11月に発表した事故報告書では、燃料すべてがメルトダウンした1号機では、溶けた高熱の燃料が格納容器内部のコンクリート壁を最大70センチも侵食しているとみられることが明らかにされた。
これでメルトスルー説に火が付き、「薄い場所ではコンクリートは100センチしかない。あと30センチあまりで燃料が地中に漏れ出す」などと騒がれた。新聞やテレビまでご丁寧に図解付きで同様に報じた。ところが、これも事実とは大きく違っていたのである。
原子炉の構造は各号機で違うが、1号機で侵食されたコンクリートとは、厚さ平均3.8センチの鉄板でできた格納容器本体の内側に打たれた床面のことで、溶けた燃料が落下したと考えられる圧力容器の真下では、厚さが260センチある。
床面には穴が開いた場所もあるので、床面のコンクリートが100センチ程度の場所に落ちた可能性も確かにあるが、その外側に先の鉄板があり、実はその下にもまだ760センチのコンクリート壁がある。さらにその下に原子炉建屋の堅牢な基礎があるから、今後、核燃料がメルトスルーする可能性はゼロといっても過言ではない。
東芝で原子炉設計に携わった日本システム安全研究所の吉岡律夫・代表は、原子炉について誤解と誤報が多すぎたと嘆息する。
「新聞は反原発派の話を鵜呑みにし、地震で配管が破断したとか、津波の前に制御不能に陥ったなどと報じたが、後の検証ですべて間違いとわかった。1号機は格納容器が小さすぎたとか、3号機はMOX燃料(※2)だから爆発するとか、再臨界、核爆発など、専門家なら真偽のすぐわかる噂がまかり通った。
本当の問題は、原発の技術ではなく安全設計の考え方だった。事故の3年も前に、一部の専門家たちは津波による全電源喪失に備えるべきだと提言していたのに(原子力安全基盤機構報告書=2008年)、それを活かせなかったことは大いに反省すべきだ。それ以外で真に想定外の問題だったのは、建屋に水素が溜まって爆発したことだけです」
もし、原発を再稼働せざるを得ない状況があったとしても、安全思想の抜本的改革がなければ同じ失敗を繰り返す。福島原発は、見た目の派手な壊れ方や初期の危機説に比べれば、ずっと安全バッファが大きかったが、それは「原発は安全」の根拠にはならない。
最も大きな困難は今後の廃炉と放射性廃棄物の処理だ。核燃料が飛び散って失われたチェルノブイリは、原子炉ごと「石棺」にし、何十年も監視し続ける道を選んだ。米国のスリーマイル島原発は、幸いにも核燃料が原形をとどめていたから数年後に燃料を取り出し、圧力容器・格納容器は通常通りの手順で解体された。
福島原発は、溶け落ちた燃料を回収・再処理し、高濃度に汚染された何十万トンもある原子炉を4基も解体・廃棄するという世界の誰もやったことのない困難な作業が待ち受ける。
「燃料が取り出せるようになるまで10年。廃炉までには20~30年と見るべきです。健全な原子炉でも廃炉には1基1000億円かかりますから、壊れた4基の処理は1兆円のオーダーになる。技術的な課題を含め、廃炉が本当にうまく進むのかが、今後予想される真の危機でしょう」(吉岡氏)
放射能禍は予測よりずっと小さかった。しかし、この恐るべき負の遺産と何十年も格闘する困難は想像を絶する。その道筋がないまま、なし崩しに原発を再稼働することなど決して許されない。
※1:核分裂で放出される中性子の速度を下げる役割を果たすもので、福島第一原発の場合は水。減速されない中性子は次の核分裂を起こすことが難しいため、水がないと再臨界の可能性が著しく低くなる。
※2:使用済み核燃料から取り出されたプルトニウムとウランを混ぜた混合酸化物燃料。3号機には2010年10月よりMOX燃料が使用されていた。
※週刊ポスト2012年3月9日号
(5)福島原発3号機の爆発は水素爆発ではなく核暴走だった!<転載記事><2011.05.06 Fri 15:16付け「カナダde日本語」より>
「プルトニウムが含まれた福島原発3号機爆発で危険なメルトダウンが始まった」というエントリーで、3月14日に3号機が爆発したとき、長崎の原爆のきのこ雲のような煙がたちのぼったことを書いたが、やはり、あれは、水素爆発ではなく、核爆発だった可能性が高いことがわかってきた。
米国のスリーマイル原発事故の際、事故調査団のメンバーだった、米国のフェアウィンズ・アソシエーツ社チーフエンジニア アーニー・ガンダーソン氏は、あの爆発は、使用済み燃料プールの燃料が、再臨界を起こして核爆発を起こしたものではないかと語った。
ガンダーソン氏も、情報がないので、あくまで仮説であると断った上で、核爆発が起こった過程を次のように説明をしている。
1.水素・酸素の化学反応で水素爆発が起こった
2.燃料棒が激しく動いて変形するような衝撃波が生じた
3.即発臨界による核反応を引き起こした。
4.核反応により、プールから燃料棒・燃料棒集合体などを吹き飛ばし噴煙を噴き上げる爆発のエネルギーとなった。
この仮説を確かめるためには、噴煙に含まれる核種の同位体を調べる必要があり、米軍機がサンプルを採集したので、米政府が情報を握っているのではないかと述べている。日本政府は、米国に情報を公開される前に国民に真の情報を伝えることが大切だ。
↑福島第一原発3号機の爆発についての解説2011年4月26日
また、京都大学原子炉実験所の小出教授も3号機の爆発について、最初は水素爆発だとばかり思っていたそうだが、データを調べていくうちに、水素爆発を引き金にして起こった核暴走ではないかと疑うようになってきたと述べられている。
核実験を禁止する法律にのっとって、大気中の微量な放射性物質を監視する研究機関が高崎にあって、そこで3月14日にヨウ素135が膨大な量検出されたことから、核暴走を疑うようになったそうだ。
★核暴走
原子炉内の出力が異常に上昇し、臨界制御が不能な状態に陥ること。
核分裂が持続的に行われる「臨界」状態に至るには、使用される中性子の性質によって「即発臨界」と「遅発臨界」に分類される。遅発臨界は核分裂反応後やや遅れて放出される中性子(遅発中性子)を必要とするため、遅発中性子を吸収することで臨界・超臨界を制御することができる。
しかし、核分裂反応の直後に放出される「即発中性子」のみで臨界に達する「即発臨界」の場合、極めて高速に超臨界が引き起こされ、外部から核分裂反応を制御することができない。
核暴走は膨大なエネルギーを瞬時に生成し、核爆発に至る可能性もある。原発事故における再臨界は核暴走の一種であり非常に危険視されている。
(2011年03月17日更新)
3号機の爆発が、使用済み燃料プールの核燃料による核爆発や核暴走だとしたら、周辺地域への被害はかなり大きなものになっているはずだ。
そして、今、3号機の温度が上昇し続けている。再臨界は繰り返されるそうなので、このまま温度が上昇し続ければ、3号機は再爆発する可能性は高い。
そうすると、かなり濃度の高い放射線を発生させるため、現在行われている注水作業も難しくなり、1号機から5号機までが空焚きとなり、連鎖反応で次々に爆発する可能性も出てくる。
そうすると、広島や長崎に落とされた原爆の何十倍、何百倍の放射性物質を放出することになり、原爆どころの騒ぎではなくなってくる。
被曝しても、ただちに症状が出るわけではないが、内部被曝の場合は、10年、20年、30年かけて人体に影響を及ぼすと言われている。このような危険な事故を起こす原発は、ただちに全廃しなければならない。
↑原発と白血病の因果関係(ドイツのテレビ番組)1/3
3号機 原子炉の温度が上昇(NHK 2011年5月6日 4時53分)
3号機 原子炉の温度が上昇(NHK 2011年5月6日 4時53分)
東京電力福島第一原子力発電所3号機では、原子炉の温度が1週間余りで30度以上、上昇していることから、東京電力は原子炉に入れる水の量を増やし、温度の推移を注意深く監視しています。
福島第一原発3号機は、1号機や2号機と同じように冷却機能が失われたことで燃料の一部が溶融したとみられ、原子炉を冷やすために仮設のポンプで外から水を注入する作業が続けられています。東京電力によりますと、3号機の原子炉の温度は、比較的、安定した状態が続いていましたが、ここ1週間余り徐々に上がっていて、底の部分の温度で見ますと、5日午前11時の時点で143.5度と、先月27日からおよそ33度、上昇しています。
これについて東京電力は、3号機の原子炉への注水量が一時的に減ったことが原因とみていて、その要因として、1号機から3号機の原子炉への注水方法が考えられるということです。具体的には、原子炉への注水は、1号機から3号機までそれぞれ別の配管を使って行われていますが、万一、注水できない場合に備え、これらの配管は別の配管でつながっているということです。このため、ほかの号機との関係で注水量が変化する可能性があり、実際に、3号機の温度が上昇し始めた先月27日から2日間は、1号機の格納容器を水で満たすため、注水量を増やしていました。東京電力では、4日から1時間当たり7トンから9トンに注水量を増やしましたが、温度の上昇は続いており、温度の推移を注意深く監視しています。
↑原発と白血病の因果関係(ドイツのテレビ番組)2/3

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